建築家が仕事場をどんなところに持つかは、創造活動にとって重要なことだと思う。

 私たちは、松江を仕事場と決めたときから、それは松江城や役所に近く、さらに宍道湖を眺めながら仕事ができたらと思い、今の場所に土地を求めて建てた。

以来30年以上になるが、今でも毎日のように湖の美しさを発見している。

 

 

    時には松江城の堀にいる白鳥がやってくることもある。

                                                             ベランダから見えるけしき

 

【理念】

 住宅はもとより建物を建てるということは、工事費、土地代などの諸々の費用、そして長い時間。誰にとっても大きな事業といえるのではないでしょうか。だからこそ、

投資相応で満足することなく、どれだけ、その投資額を超えた建築にするかが重要です。機能性や便利さ、美しさ、経済性を追求するだけにとどまらず、精神的な豊かさや

活力が湧き出てくるような、質の高い建築設計が、私たちの目標です。 

 

 創立当時、「環境」という言葉は、まだ認知度が低くあまり世の中で話題になっていませんでした。私は、自分たちが創る建築は、自然や街並みに対してどのように対応すべきか、絶えず思考を重ねながら創っていきたいとの思いで、この「環境」という言葉を事務所名に掲げました。

 

 設計に際し、周囲の自然や街並みがより美しく、また、より豊かになるよう配慮することは建築家として当然ですが、決してそれは周囲に同化することだけが最良ということではなく、また周囲と背を向け、独善的であってもならないと思います。建築は、所有者や利用者だけのものではありません。その前を通り過ぎる人もいれば、遠くから眺める人もいる…建築の設計という創造的行為は、社会に対して大きな責任があるのです。

 

 時を越えて、存在そのものが人々になにかを語りかけていくような建築。私とスタッフ一同は、そのような建築を目標に、日々心をこめて、設計をすすめています。 

すばらしい建築は、依頼主との共同作業の末に生まれるもの。要望を単に図面化させるのではなく、依頼主とともに考え、悩み、 を重ねながら出来上がったものこそが、設計図。私たちがこれまでに設計・監理させていただいた依頼主の方々とは竣工後も親密な関係のもと、「依頼主-設計者」の関係にと留まらずそれを超えた人間関係に発展しています。

また、近年設計を作成する手段はコンピュータが主流となってきました。しかし、魅力的な建築を作るために必要なものは、やはり設計者自身の気持ちや心であるはずです。時には手書きで何度もスケッチをくり返したり、模型で検討を重ねたりすることによって、その思いが図を通して依頼主の方々に伝わると信じ、私たちは今もその手法も大切にしています。